欣也は輝いていた

5月18日、もう1ヶ月以上前の話になるが、ドナ・サマーが亡くなった。

ワタシ的には、ドナ・サマーといえば「ホット・スタッフ」。
私が田舎の中学生だった頃、仲間と一緒にいる時に「ホット・スタッフ」が流れた。
すると、仲間の一人がドヤ顔で
「ドナ・サマーはコノ曲のヒットで、一生遊んで暮らせるくれーもーけたんじゃ~」
と言った。

一生遊んで暮らせると言われても、バリバリセレブな生活がずっと続けられるのか、
豪華客船で周遊とは言わないまでも、ちょっとした国内旅行くらいなら続けられるのか、
仕事をしなくていいギリギリの生活なのか、その辺りがまったく見えない。
「いったい、なんぼーもーけたんかの~」と具体的な金額を聞こうとして、
彼の満足そうな顔を見ると、追求できなくなってしまい
「ぼっけーのー」と答えていた。

控えるコトのやさしさを実践した、粋な心配り、これぞ美しき友情である。

このエピソードによって、
ドナ・サマー+「ホット・スタッフ」=一生遊んで暮らせるヒット
が私には刷り込まれてしまっている。

 

そんなドナ・サマーの記事の下に、中原 早苗って女優さんが亡くなったという記事が……。
私の勝手な印象では、常に犯人側となんらかの関係がある役柄で、
多くのドラマや映画に出ていた女優さんだった。
上手い脇役として顔は覚えていたが、名前を初めて知ったコノおばさんが、
なんと故深作 欣二監督の奥さんだと知ってビックリ。

女性にだらしない深作監督に奥さんがいたとは……。

記事を読みながら、他人には知る由もない、男と女の因果に無駄な思いを馳せる。
深作 欣二と言えば「仁義なき戦い」。
岡山のお隣り広島を舞台にした、やくざ映画の金字塔だ。
ただ、21世紀の今、やくざ映画と聞くと顔をしかめる人も多いだろうが、
最初の「仁義なき戦い」とシリーズ2作目となった「仁義なき戦い 広島死闘篇」は、
評価していいと思う。
確かにシリーズが無意味に続いたことで、3作目以降のグダグダ感は否めないが、
最初と2作目は出来が違っていた。

特に単なる続編ではなく、ある青年の行き場のない葛藤を描き、
人気を不動のモノとした2作目がいい。
千葉 真一の怪演と北大路 欣也の入り込んだ演技は、
現在の韓国映画にも勝るエネルギーがほとばしっている。
そう言いながら、随分前の記憶を頼りに書いているので、少し心細いが、間違いないと思う。

今でこそ貫禄あるおじさん役をこなしている北大路 欣也だが、
若き日の欣也は、ウォンビンやイ・ビョンホンのようにギラギラに輝いていた。

 

 


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