30数年ぶりの「羅生門」

令和元年5月12日、京マチ子さんが亡くなられた。

大正13(1924)年、3月25日生まれなので、享年95歳。

最近では珍しくなくなった感があるが、ご長寿に間違いない。

そんな一報を受けて、DVDの棚に置きっぱなしにしていた「羅生門」を観ることにした。

昭和25(1950)年の作品で、1951年に日本映画が初めて海外映画祭でグランプリを獲った金字塔的作品。

第二次世界大戦に日本が敗れてから、たった5年後の作品なんですね~。

感心、感心。

最初に「羅生門」を観てから、30数年ぶり。

前回は事前に難解な作品という知識を得て鑑賞し、

なるほど皆さんがおっしゃる通り難解だな~、

というのが鑑賞後の感想だったことをやんわり覚えている。

「羅生門」には、たった8人の人物しか出てきません。

その中でもカギとなるのが4人。

盗賊と武士と武士の嫁さん、それと森で薪を拾ってる杣売りのオッサン。

 

森の中で杣売りのオッサンが武士の死体を発見します。

そこでその武士の死に関係した者として、

盗賊と武士の嫁さんと武士は死んでいるので霊媒師として巫女さん、

3人からなぜ武士が死んだのか供述をとります。

まず盗賊が供述し、次に武士の嫁さんが供述するのですが、

2人が語った内容がまったく違う。

その次に霊媒師である巫女さんが亡くなった武士の代わりに、

死に至ったいきさつを語るが、これも前者の2人とまったく違う。

3人が語る供述に、どれが真実なのか、どんな意図がはたらいて、

これほどまで食い違う供述を主張するのか、真意が見えてこない。

はたして武士はなぜ、どのようにして亡くなったのか、

闇の中かと思った時、実は杣売りのオッサンが一部始終を目撃していたと告白する。

杣売りのオッサンによって、武士の死の真相が明らかにされるのだが……、

そこはぜひ映画をご覧になってください。

さて、映画の中で盗賊と武士が闘うシーンがあるんですが、

これがもう最高で、超リアルなんです。

勇ましさやスタイリッシュとはかけ離れた、

自分はいま相手より有利か否か、行くべきか引くべきか、

躊躇とやけくそが入り交じる人間味あふれた激闘は圧巻です。

「泥臭くても死ぬよりまし」闘う2人の破裂寸の前鼓動が、

画面を通して伝わって来て、これが70年も前の映画なのかと感激。

“むせかえる真夏の草いきれの中で、

繰り広げられる盗賊と美女とその夫の

息詰まるような愛欲絵巻!”

キャッチコピーはこのように書いていますが、

これは興行的に書かれたもので、もっと奥深~いものが胸に残ります。

ちなみに前回観た時の感想は、難解だな~でしたが、

今回はすっーと理解できた気がします。

あれから比べると、大人になったのかも知れませんね~。

 


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