今年5月~8月末までの4ヶ月間に観た映画の中から、
“いい映画ベストスリー”を独断と偏見で発表。
ただし私の場合、DVDでの映画観賞がほとんどなので、
ほぼ旬を過ぎた作品ばかりですが、あしからずです。
それでは、第3位と行く前に、
みなさん、ナタリー・ポートマン主演の「ジェーン」って観られました?
「レオン」での衝撃のデビューから23年。
才色兼備として知られ、すばらしい女性に成長した彼女。
私は勝手に、泣かせる演技をさせると彼女がハリウッド№1だと思っています。
「ジェーン」でもその本領をいかんなく発揮しています。
観ているこっちが、アゴが外れるんじゃないか?と心配になるくらいの熱演。
お暇な方は、ぜひチェックしてみてください。
さて、本題に戻って、
第3位は「わたしは、ダニエル・ブレイク」です。
2016年、第69回カンヌ国際映画祭で、イギリスの巨匠ケン・ローチ監督が
2度目のパルムドールを受賞した作品です。
80歳を越えて引退を表明したものの、この作品を撮るために引退を撤回。
並々ならぬ決意で挑んだ作品なのですが、
社会的なメッセージは発信しているものの頭ごなしではなく、
コミカルかつシニカルに観客に受け入れやすく表現しています。
物語は、最愛の妻を亡くしてからも真面目に大工の仕事をていた59歳のダニエル・ブレイク。
ある日突然心臓の病気を患い、仕事をしてはダメとドクターストップを告げられます。
働かないと収入が途絶えるため、国から援助を受けようと関係機関を訪れるものの、
今まで触ったこともないネットでの手続きや履歴書の書き方講座への参加、
架空の就活などに振り回され、結局必要な援助を受け取ることができません。
そんな中、彼と同じく援助の手続きに悪戦苦闘している、
身寄りも仕事もない移民系のシングルマザー、ケイティに出会います。
正義感の強い彼は、困っている彼女と2人の子どもを見過ごすことができず一家を助けます。
このことがきっかけで、彼と一家の交流がはじまり、
赤の他人同士ではあるけれど、互いに寄り添い、
経済的に厳しいが励まし合いながら日々を懸命に生きていくのですが……
イギリスといえば「ゆりかごから墓場まで」のスローガンが有名でしたが、
2010年のキャメロン政権下で随分激しい福祉の切り捨てがあったようで、
福祉国家イギリスというイメージは、過去の遺産になっているようです。
この映画に説得力を与えているのが、キャスティングの素晴らしさです。
主演のデイヴ・ジョーンズは、イギリスでは有名なコメディアン。
今回の役はオーディションで獲得したそうですが、
ダニエル役にバッチリはまってました。
顔を知ってる有名俳優さんが演じていたら、
同じように感情移入できたか疑問です。
シングルマザー役のヘイリー・スクワイヤーズさんも
オーディションでこの役を獲得したそうです。
彼女も移民の設定と憂いのある容姿で、役柄にピッタリでしたね。
福祉行政の大切さ、現場で働く人の大変さ、生活保護のジャッジの難しさ、
はたして日本は大丈夫?なとなど、いろいろ考えさせられる映画でした。
政治家のみなさんに、ぜひ観ていただきたい作品です。
この映画、素晴らしい作品なのにポスターのデザインがいまいち。
深~い内容を示唆するようなデザインなら、
もっと注目されただろうと残念に思うのであります。