今年1月~4月末までの4ヶ月間に観た映画の中から、
“いい映画ベストスリー”を独断と偏見で発表。
ただし私の場合、DVDでの映画観賞がほとんどなので、
ほぼ旬を過ぎた作品ばかりですが、あしからず。
今回は第3位の発表。
第3位は「リリーのすべて」です。
昨年「博士と彼女のセオリー」でアカデミー主演男優賞をゲットした、
エディー・レッドメインが2年連続して主演男優賞にノミネートされた作品です。
監督も万全。「英国王のスピーチ」でアカデミー作品賞を受賞したトム・フーバーさんです。
なので映像がとても上品。
なんだかんだあって、ジョニー・デップと別れたアンバー・ハードも出てますが、
彼女もいつもより上品に見えちゃうから不思議です。
物語は1926年、デンマークで世界ではじめて性別適合手術を受けたリリーさんのお話。
リリーさんは結婚もしていて、それまで男性として普通に暮らしていました。
特別なところと言えば、夫婦が共に画家だということ。
リリーさんは風景画家で、奥さんは肖像画家。
ただ、この奥さんが肖像画家だったということが、
運命を変えるカギになってしまいます。
ある日、モデルが手配できず、
締め切りが迫っている絵を仕上げるため、夫であるリリーに代役をお願いします。
※正確には、夫はまだリリーではありません。
彼の中の女性が目覚めてからリリーと名乗ることになります。
ここでは男性の時の名前を覚えていないので、このまま進めます。
これが間違いでした。
モデルの代役をやっている最中に、本当の自分に気づいてしまったのです。
リリーさんと奥さんのその後の葛藤が、二人の見事な演技で繊細に描かれます。
エディ・レッドメインはもちろんですが、
奥さん役のアリシア・ビカンダーっていうのかヴィキンデルっていうのか、
ややこしい名前の女優さんもスバラシかったです。
この映画一発で、ちょっとファンになってしまいました。
と言いつつ、いつものようにすぐ忘れるのでしょうが……。
今のところは、彼女の次回作に期待しています。
映画なので脚色は大いにあると思いますが、
題材となったリリー・エルベは実在の人物だそうです。
1882年にデンマークで生まれて、22歳で結婚、
30歳の頃には女性として暮らしていたそうです。
静かに追い込まれてゆく、トランスジェンダーの性の悩みを、
上品に描いていた良作でした。