第2位は「ラブ&マーシー」です。
大袈裟ですが、これからの人生に大きく影響する映画でした。
というのも、これまでザ・ビーチボーイズといえば「サーフィン・USA」に代表されるように、
太陽サンサンのーてんき、陽気でナンパなサーファーの歌っていうイメージで、
日本ならTUBEみたいなものと思っていましたが、
ところがどっこい、この映画で波乱万丈なグループだったことをはじめて知りました。
数々のヒット曲を生み出したブライアン・ウィルソンの、
ひかり輝く才能からはじまり、プレッシャーから酒とドラッグに溺れ、
やがて精神的に崩壊、そしてある女性との出会いによって、
奇跡的に復活を果たすまでが描かれています。
だから、今後ザ・ビーチボーイズの曲を聞くと、
必ずこの映画を思い出して切なくなるんだろうな~
知らなきゃ良かったな~
いやいや、真実を知って楽しむのが大人……など、
この映画を観る前と観た後では、
ザ・ビーチボーイズのとらえ方がまったく変わってしまいました。
特にこの映画の面白いところは、
ブライアン・ウィルソンが二人一役で描かれているところ。
1960年代、30歳の頃をポール・ダノン。
1980年代、50歳の頃をジョン・キューザックが演じています。
通常では考えられない演出ですが、なんだか新鮮で許せました。
ポール・ダノンとジョン・キューザックの二人が、
ブライアン・ウィルソンを演じているのですが、
私は断然ポール・ダノンが良かったですね。
もともとポール・ダノンがお気に入りの俳優さんだってこともあります。
1966年に発表された「ペット・サウンズ」っていうアルバムをつくっている最中に
精神的にやばくなってくるのですが、
その変化の機微をすばらしい演技で表現してました。
ポール・ダノンを最初に見かけたのが「ファーストフード・ネイション」。
アビゲイル・ブレスリンを一躍有名にした「リトル・ミス・サンシャイン」では、
沈黙を守る誓いを立てて言葉を発しないオモロイお兄さん役をしてました。
さらに「プリズナーズ」に「それでも夜は明ける」など、
いずれも個性的なキャラクターを見事に演じている、いい役者さんです。
もうすぐ74歳を迎える、ブライアン・ウィルソン。
苦悩の日々から抜け出し、すっかり元気になった彼は、
今でも現役で活躍しているらしいですよ。
ご本人公認のこの映画、おすすめです。
鑑賞後に聞く「グッド・ヴァイブレーション」は、
これまでとは違って聞こえるはずです。
さて、いつの日か…ASKAもこのような映画になる日が
来るのでしょうか……