私はジャンルを問わず、「観たい」と思ったらどんな映画でも観てしまう。
節操がないと言えばそれまでですが、自分ではなかなか人間らしいと思っています。
人間は草食動物でも肉食動物でもなく、
雑食だから生物の王者として生き残れたと何かで読んだことがあります。
どうやら進化の過程では、草食の人間や肉食の人間がいたそうです。
生き残った私たちの祖先は、あれこれ選ばず、とにかく口に入れていたようです。
マズイだの旨いだの、毒だの栄養だのは、後の お た の し み。
ファンキーなお考えをしておられたようで、
そうやってご先祖さまは、何万年もサバイバルを生き抜いてこられたのです。
ということで、私も興味がそそられる映画はなるべく観るようにしています。
だから映画に関して、私には苦手なモノは一切無いと思っていました。
ところが!!
最近ひとつだけ、ど~しても苦手なシーンがあることに気づいてしまったのです。
それは、人か死ぬシーンです。
勘違いしないでくださいね。
別にヒューマニズムで言っている訳ではありません。
人が死ぬ時の演技が苦手なのです。
正確に言うと、「目を開けて」もしくは「目を見開いて」死ぬシーンが苦手なのです。
あれをやられると、
ストーリーよりも死亡した役者さんの目が気になって気になってどーしょうもないのです。
ピクピクされるとがっかりですし、
たとえ見事に長時間耐え抜いたとしても「よくがんばったな~」と
関心をそっちに奪われてしまうのです。
リアルを追求する演技派と言われる俳優さんにこの傾向が強く、
もっともシリアスなシーンで気合を入れてこれをやる。
だから最近ではストーリー的に死が迫ってくると、
「お願いだから目を閉じて死んでくれ…」と祈ってしまい、その時点で気が散ってしまう始末。
そこでのリアリティーはいいから、
元気に生きているうちにリアリティーを披露してもらいたいものです。
世界中 死ぬ時の演技にこだわるのは、男性 特有のモノなんでしょうね。
女性で壮絶な死を表現した女優さんは、そんなに思い当たりませんもんね。
死ぬ時の演技と言えば、やっぱ松田優作です。
1974年(昭和49年)あれから40年以上経っても、
今だにあれを超える断末魔の演技は無いですね。
「なんじゃこり~」ですよ……。
彼の場合、1980年(昭和55年)の「野獣死すべし」でも、
ラストの狙撃されるシーンが望遠で撮られてて、
階段から後ろ向きに落ちる途中で映像がストップ、
本気で死ななきゃあのシーンは撮れないと思います。
(あの後、後頭部は大丈夫だったのでしょうか……)
「リービング・ラスベガス」のニコラス・ケイジや
「イントゥー・ザ・ワイルド」のエミール・ハーシュの死に方も鬼気迫るものがあったけど、
優作のそれはまったく別格だと思います。
そろそろ優作の死に方を超える俳優さんが現れてもいい頃ですが、
でも絶命の時には、必ず瞳を閉じてお願いしたいと思います。