今回は3位までには入らなかったけど、印象に残った作品をご紹介。
まずは「愛さえあれば」。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した、
「未来を生きる君たちへ」のスサンネ・ビア監督の最新作です。
主演の決して悲観的にならず、ひたむきに生きる女性を、
「未来を生きる君たちへ」に出演していたデンマークの国民的女優
トリーネ・ディアホルムが、力むことなく好演。
お相手は「007」シリーズで御馴染みのピアース・ブロスナンで、
こちらもいい感じのオッサン臭を漂わせながらナチュラルに演じていました。
「全編どこを切り取ってもチャーミングな、絶対に観るべき作品」。
「ビター・スィートなコメディの真の逸品」。
これらのレビューが大袈裟ではないと納得できる作品でした。
メリハリのあるストーリー展開やリズム、結末の落としどころなど、
さすが才能のある監督は違うな~と思わせてくれます。
ところで「007」、あなたにとってのボンドは誰でしょう?
現在は、飛ぶんで跳ねて撃ちまくる、これまでのボンドのイメージを一新した、
アクション全開のダニエル・クレイグが演じていますが、
元祖はなんと言ってもショーン・コネリー。
彼がスカしたちょいワルエロおやじ路線を確立しました。
かのピアース・ブロスナンもショーン・コネリーのDNAを受け継いだボンドでしたね。
で、私にとってストライクゾーンのボンドは、
この人、ロジャー・ムーアです。
*ちなみに、ロジャー・ムーアがボンドデビューした時のボンドガールは
バーバラ・バックって人で。リンゴ・スターの嫁さんです。
2人仲良くアル中の病院に入院してたニュースが微笑ましかったです。
ショーン・コネリー同様おじさんボンドでしたから、
陥れる、待ち伏せるなど、とにかく姑息な手を使って省エネで敵に勝利する。
どうしようもない時だけ、しかたなく闘う。
やらしい勝ち方=頭脳派=スマートでしょみたいなタイプでした。
あくまでも、私の勝手なイメージですが……。
話が脱線してしまいました。
次に紹介するのは「25年目の弦楽四重奏」です。
昨年亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンが出てるので、
ぜひとも観ていただきたい。
やっぱり彼は何をやらせても上手いな~と思えます。
「ディア・ハンター」のクリストファー・ウォーケンも物静かに好演。
互いに積み重ねてきた25年の歳月。
年齢と共に人間関係が変化し、絆がこわれてしまうことはしかたがないことなのか……。
誰にでも訪れる課題をシリアスに再認識させてくれる映画でした。
最後にピックアップするのは「もうひとりのシェイクスピア」です。
ローランド・エメリッヒ監督の作品なのですが、
これまで彼がお得意とした「インデペンデンス・デイ」や「ディアフター・トゥモロー」、
「紀元前1万年」などのようなドッカン、ドッカン映画ではなく、
シェークスピアを題材とした歴史ミステリーを描いています。
*ローランド・エメリッヒ
数々の名作を残したシェイクスピアですが、
その歴史的な名作は彼自身が書いたものではないという仮説に沿って物語りは展開します。
それもなかなかの説得力で、
映画を観終わった後には「そ~かもしんない」と思えるほどです。
映画の中でこんな記述が紹介されます。
シェイクスピア
戯曲37作品
ソネット154編
物語詩 数編
それらすべて人類と英語における究極の表現として知られる
それなのに
シェイクスピアの自筆による原稿はいかなるものであれ見つかっていない
400年もの間 何ひとつない
彼は革手袋商人の息子
生まれた日は定かでない
彼は地元の学校で学んだ
知識だけを武器にロンドンへ
様々な経験を経て
役者になり
ついに劇作家となった
彼は52歳で死去
後には妻と娘2人が残された
彼女たちも彼自身の父親も
読み書きができなかった
2番目にいいベッドを遺言で妻に遺したが
本の1冊 原稿の1作にも言及がない
シェイクスピアは謎の存在だ
実体がない
どうです、もしかしてシェイクスピアは、
元祖 佐村河内かも知れません。
*ある映画の前に紹介された予告編より、いやはや罪深いな~
最後にシェイクスピアの言葉
石ではなく
詩で形づくられた記念碑は
永遠に人々の記憶に残る
言葉が息から生まれ
息が命から生まれる限り