今回は前回の続きで3位だった残り3本のご紹介。
まずは「インポッシブル」です。
2004年にバカンスでタイを訪れたスペイン一家が、
スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した実話がベースになっています。
東日本大震災を経験した我々とって、
脳裏に焼き付いて消えることのない津波。
映画の中で人々を襲う津波のシーンは、
あの忌々しい津波を彷彿とさせるに充分すぎるほど超リアルです。
監督は「一番大切なことは、観客に深く影響を与える悲劇的な実話に対し、
敬意を表して描くこと」と語っていたそうです。
被災規模の大きさに つい見失いそうになりがちですが、
ナオミ・ワッツの迫真の演技とその家族の絆が、
被災者ひとりひとりにそれぞれドラマがあったことを、
今いちど思い起こさせてくれます。
次は「君と歩く世界」。
マリオン・コティアールの底知れぬ魅力と、
「闇を生きる男」のマティアス・スーナールツのハリウッド産ではない独特の愁い。
二人の個性が融合した、見事な作品でした。
それもそのはずで、あの「預言者」を撮った監督だったんですね~。
絶望から這い上がろうとする姿は決して美しくなく、切ないほど痛々しい。
傷つきながら辿り着いた二人の未来とは……。
余韻を残したラストも印象的でした。
明確に描ききらないところが、大人な終わり方で良かったですねぇ。
最後は「アンコール」。
「72歳の大決心」というキャッチコピー通り、
偏屈ジジイが最後の最後に懺悔のチャンスを
掴み取ることができるのか…という映画。
人生経験をたっぷりと重ねた年配の方々が集まって、
合唱大会に出場するんですが、
それまでの過程で結構イキな懐かしのポップが使われています。
「満足度100%!踊りだしたくなるのに涙が止まらない」
なんてレビューも紹介されています。
特に最後に使われている曲が良くて、
ビリー・ジョエルの「眠りつく君に」という曲。
資料によると、この曲はビリー・ジョエルの娘が7歳だった時、
「人は死んだらどうなるの?」って聞かれて、
娘に歌う子守唄として作った歌だそうです。
いつの日か、僕らはみんないなくなる
それでも、子守唄は語りつがれる…
けっして絶えることなく…
そして、きみと
僕も
ずっと永遠に (訳詩:山本安見)
クライマックスで偏屈ジジイの孫が叫ぶシーンがあるんですが、
“ぷるっ”と身震いするくらい感動しちゃいました。
年をとるとめっぽう子どもに弱くなって、なんとかしなければいけません。
勇気を振り絞り一念発起して懺悔するか、
日頃から少しずつ感謝を表現するか…。
少しずつがいいとは分かっていても、
オッサンの領域に達すると、より一層コツコツが難しくなるのであります。