今回は3位の発表です。
第3位は「永遠の0」です。
ご存知、百田尚樹の大ベストセラーを映画化した作品です。
500ページを超える原作を上手く取捨選択して、144分に纏めていました。
また今作では、「ALWAYS」シリーズで見せた山崎監督とROBOTのコラボが生み出す、
ハイクオリティーなVFX技術がいたる所で炸裂。
特にリアルな戦闘シーンは、映像に臨場感と緊張感を与えていました。
周りが自分のことをどう思おうと、妻と娘の元へ戻り 命を懸けて二人を守り抜く……。
家族への愛、その信念を貫いていた宮部久蔵が終戦直前に“なぜ 特攻を志願したのか”。
物語は、当時の宮部久蔵を知る人たちの証言を聞いて回ることで、
少しずつ真実が明らかになってゆきます。
ベテラン俳優さんが、映画全体の説得力を高めるいいお芝居をしていました。
景浦の現在を演じた田中泯(68歳)と大戦中を演じた新井浩文(34歳)が良かったですし、
もう時効ですが、若い頃モゲモゲの歌であんぐりとさせられた風吹ジュンも、
やわらかくていい味を出すようになりましたね。
そして何より、夏八木 勲。
宮部久蔵が戦死したことにより、未亡人となった松乃と再婚した弁護士役で出ていました
が、彼にとってこの映画が遺作となってしまいました。
まさに遺作にふさわしい、見事な演技を見せてくれています。
本も映画も面白かったのですが、
実は原作の時点から少し気に入らないところがあります。
作家が男だからでしょう、未亡人である松乃の再婚へのくだりが
「許し」への材料が揃い過ぎてリアリティーが欠けてましたね。
また、夜な夜な宮部 久蔵が身体を鍛えるシーンも、
人に見つかるくらい声を出しながらするか~?って思ってしまいました。
まぁ総合的に見ると、合格点なのでいいのですが……。
最後に原作を読んでいない人がラストシーンを観て、どう感じたか知りたいですね。
たぶん山崎監督が300万部を超える小説へのリスペクトを込めて、
あのラストシーンを選んだのだと思いますが……、
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のデ・ニーロを
彷彿とさせる終わり方でしたね。