歴史的背景とか製造方法などについてはあまり詳しくないので
「仏像好き」と言うにはおこがましいのですが…
久しぶりに仏像の本を買ってウキウキしています(笑)
「歴史群像 8月号別冊 CARTA 2012年盛夏号 」
発行:学研パブリッシング 価格:680円
完全保存版と銘打つだけあって、写真が美しいです。
写真は仏像写真の老舗、飛鳥園。
仏像めぐりのイロハから、仏像の歴史、印相や持物図解や仏像分類、
仏像の制作行程などなど、コアなファンから初心者まで楽しめます。
さらに、哲学者・日本史家 和辻哲郎著『古寺巡礼』の特典文庫付きと、
中身の充実したとても素晴らしい一冊です。
仏像のグラビア(?)を眺めてニヤニヤしている様は
ちょっと人様には見せられませんね(笑)
あー京都行きたい!
自分は職業柄、仏像を見る時は主に美術的興味(造形美)として見ていますが、
絵画においてもそうであるように、芸術を語るにはまず歴史から。
歴史を知れば、また違った景色が見えてくる。
そう思って色々読んではみるものの、
学生の頃の苦手教科は?と聞かれてトップ3に「歴史」を上げる自分にとっては
そうすんなりとは頭の中に入ってきてくれません。これはなかなかの苦行です(笑)
しかし わたし的に思うに、
仏像含め、これら宗教美術の本当の美しさを知るために何より重要な事は
「それを創った人々の祈り」を知る事じゃないかと思います。
入信すべしという事ではなく、宗教を信仰する人の心を汲み取るという事です。
近頃は空前の「仏像ブーム」だそうで、
以前、奈良は興福寺の国宝「阿修羅像」が東京・京都を巡回した際には
なんと来場者数159万人を動員したとか。
それらをきっかけに興味を持つ人が増えるのは喜ばしいんですが、中には礼節を欠く人も…
敷居を踏む人や仏像に触ろうとする人、無断で写真を撮る人…
土足で上がろうとする人もいるそうです。非常に残念な事ですよね。
本当に仏像を楽しむなら、まずは祈りを捧げる人の視線になってみる事です。
仏像は基本的に座った状態で目が合うように置かれています。
壁の絵なども同様に仏像の前に座ることでその構成の意図が分かるように作られたもの。
静かに手を合わせて挨拶をする。
しばらくの間 顔を眺めてみる。
たったそれだけでも仏像への感じ方が違ってくるはず。
仏像は美術品としてのみならず、祈りの対象だからこそ美しいのだと思うのです。
なんてちょっと通ぶってますけど、小さい頃は仏像が恐くて苦手だったんですよね。
何が恐かったかというと、世界的名画モナリザなどでも知られるあの微笑
「アルカイックスマイル」というやつです。
アルカイックスマイルというと「慈悲的で優しい笑顔」
と言われていますが、意味を調べてみると
『唇の両端がやや上向きになり、微笑を浮かべたようにみえる顔』(by.Wikipedia)
……………………………目は笑ってないんですよ。
それは見方を変えれば「狡猾な」ようにも見えるし「胡散臭く」もあり「怪しい」笑みでもあるわけです。
要するに「何考えてんだかわかんない」というのが子供心に恐かったんでしょうね。
とういうかですね、今でもちょっと苦手です(笑)
憤怒の顔をした仏像の目はその通り感情が見てとれるので別に何と言う事はないんですが、
アルカイックスマイルの、人間の感情を超越した微笑は
じっと見ていると、心の奥底まで見通されているような感覚に陥るんです。
きっと仏像の前に座って見上げるとき、
人それぞれ、その時々の心や感情に合わせていかようにも見えるように
非常に緻密に計算され、工夫されたデザインなんではないでしょうか。
人は本来、未知なるもの、自分の知らない世界に対して畏怖を感じるものです。
それと同時に神秘的なものへの憧れも併せ持っています。
だからこそ私は仏像の目に畏れを感じながらも惹かれるのでしょう。