雪は天からの贈り物。

時が経つのは早いもので、気がつけばもう12月。

この時期になると増えるのが、雪の結晶を描く事。
以前に描いたのを使い回せばとも思うのですが、
“常にオリジナル”がポリシーなので
デザイン制作の過程でササッと作ってしまいます。

雪の結晶は1つとして同じカタチはないと言われていますが
昔の人はどんな雪の結晶を見ていたのでしょうか。

世界ではじめて雪の結晶のスケッチを描いたのは、
スウェーデン ウプサラの大司教オラウス・マグヌス(1555年)とされています。

右側の四角の中に描かれているのがそれです。
まだ六角形という認識は無かったようですが、
結晶というものの存在を理解していたのではないかと思われます。

雪の結晶が六方対称であることを始めて認識されたのは1611年、
ドイツの天文学者、ヨハネス・ケプラーという人が発見ました。
なぜ六角形になるか研究がされ始めたのはこの頃からです。
ヨハネス・ケプラーは研究の記述のみでしたが、
ケプラーの本を読み関心を持ったフランスの数学者ルネ・デカルトが
雪の正六角形の結晶のスケッチを描きます。(1637年)

その後様々な学者がスケッチを発表していますが、
中でもイタリア数学研究者ドナト・ロゼッティが描いた雪の結晶は
まるで西洋の建築にあるリリーフのように美しい。(1681年)

日本でも1832年に江戸時代後期の大名で蘭学者の土井 利位(どい としつら)が
日本初の雪の結晶観察図鑑「雪華図説」で86種の結晶のスケッチを残しています。

このスケッチはテキスタイルパターンとして取り入れられ
着物の柄「雪華模様」としても大流行りします。

1890年代に入ると顕微鏡の発達により雪結晶の写真が紹介され始め、
1901年にウィルソン・ベントレーが結晶の顕微鏡写真を米国気象学会誌に発表します。
彼は生涯をかけて撮影した顕微鏡写真から2300種の結晶を収めた写真集を出版しています。

撮影技術は現代に比べれば劣りますが、
結晶のカタチそのものの複雑で繊細な美しさはしっかり伝わってきます。

そしてこちらは私が最近購入した、
アメリカの物理学者ケネス・リブリクト氏の写真集。

余計な説明は不要ですね。ただただ美しく、感動的。

一瞬で消えてしまう小さな雪の結晶を、どのように撮影したのか不思議です。
洋書ですが英文はかなり少なめで詩の引用句がちょこっと載っている程度。
512ページもありますが、殆どが写真です。
雪の結晶については300年近く研究がされてきていますが、
どうして様々なカタチがあるのか、そのカタチが形成される条件等は今もって謎です。
自然というものの神秘は奥深い。

−芸術家がいかにすばらしいものを想像しようと、真実の驚異にまさるものはない
(リチャード・ファインマン)


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