マナー1

東京の下町のとある会社にお声がけいただき、

打合せのため、はじめて先方を訪れた時のこと。

はじめてなので移動時間を読み切れず、

約束の時間よりも早く到着してしまい、ど~したものか状態。

お茶をするにも周辺にお店があるのか分からず、

はたまたお店を見つけたとしても、

のんびりするには時間が足りない。

ということで、天気もいいし、その辺りを時間まで散策することに。

しばらく歩いていると、ずっと続く白い壁に何やら異物を発見。

なんだろう?と近づいて見ると。

手づくり感満載の、ナイスな警告が!!

これは一体誰に向けての警告なのか?

散歩している犬に向けてなのか?

犬なら文字が読めないだろうから飼い主に向けてなのか?

しかし、待てよ……

私も犬を飼ってたから分かるが、

彼らが用を足す時は、本能的に角を選ぶはず。

こんなどセンターな場所を彼らは選ばない。

と言うことは、人間に向けてのものなのか?

人間だとすると、イマドキまだやるヒトがいるのだろうか?

でも、ちょうどいい感じで集水口がポッカリ口を開いているし、

もしかしたら、そうなのかも……。

それにしても、この警告はバツグンの出来栄えである。

素材といい、文字といい、全体的な色合いもいい。

特に書体がパーフェクトだ。

威圧感や上から目線を感じさせない、お願いしますよ的な筆跡がいい。

最後に!!を付けてないのもいい。

もしこれがカッチリデザインされた、

プレートや看板だったら同じような印象を受けるだろうか?

デザインというか仕上り感で印象は変わってくるもの。

コレはこの仕上りだから、警告を発する側の人柄が見えてくるのだ。

やめてもらいたいが心やさしい主が、マジックを取り出し、

ガムテープに最低限のメッセージを書いている姿が思い浮かぶ。

なんだか好感が持てるのは私だけだろうか……。

さらに、問題が解決すれば剥がしてしまえばいい。

効率までもいいのだ。

白い壁の1枚の警告が、デザインの大切さを教えてくれる。

ヒマつぶしにはもってこいの出会いにしばし思いを巡らせ、

効率よく時間をやり過ごし、先方との打合せに突入したのであります。

 


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