8月が終わり、私だけが勝手に思っているのですが「また、この時期が来たか…」と。
ということで、しょうこりも無くまたまた書きます。
今年の5月~8月末までに観た“いい映画”を独断と偏見でピックアップ。
ベストスリーの前に、ベストスリーから漏れた惜しい映画を2本ご紹介。
まずは、「めぐり逢わせのお弁当」です。
インドがこんな映画つくったら反則じゃないの、って感じの映画です。
ムダな歌や集団ダンスが一切無い、大人のあわい恋のお話なのです。
インドの大都市ムンバイにはビジネス街で働く人たちのために、
お昼のお弁当を届ける職業があります。
その数なんと毎日数十万個。
膨大な数のお弁当が、配達人たちの一糸乱れぬリレーによりお昼までにオフィスに届けら
れています。
誤配達の確率が、600万分の1と言うんですから見事です(数字の根拠はさだかではあり
ませんが)。
平凡な日々を送るある主婦も、ダンナのお弁当を毎日配達してもらっています。
しかしこの夫婦、ご多分に漏れず倦怠期に突入。
そこで、妻のことをまったく構わなくなったダンナを振り向かせようと、
腕によりをかけてお弁当を作ることにします。
上の階に住むオバチャンからアドバイスをもらいながら、
自信満々のお弁当が出来上がり、いつものように配達人に託します。
そして予想していた通り、戻ってきたお弁当箱はピカピカの完食です。
想いを込めたお弁当効果で、ダンナの反応が変わることを期待していましたが、
帰宅したダンナはノンリアクション…。
お弁当の感想を聞いても、なんだかかみ合いません。
なんと、彼女が作ったお弁当は600万分の1の事故に遭遇。
それが運命の悪戯というか、トキメキの誤配になったのです。
自分が作ったお弁当を誰が食べたのか知りたくなった彼女は、
お弁当に手紙を添えます。
すると返事が返ってくる。また手紙を添える。返ってくる。
何度かぎこちないやり取りを繰り返すうちに、少しずつ心を通わせる二人。
いやはや二人の関係はどうなるのでしょう…。
ラストは含みを持たせたエンディングとなっています。
これも、これまでのインド作品らしくないニクイ終わり方。
姿を現すことはありませんが、上の階に住むオバチャンの存在感がナイスでした。
次に紹介するのは、「物語る私たち」です。
「死ぬまでにしたい10のこと」(03年)や「あなたになら言える秘密のこと」(05年)で
主演をした、女優&監督のサラ・ポーリー初のドキュメンタリー映画です。
これまで彼女は「アウェイ・フロム・ハー」(06年)や「テイク・デイズ・ワルツ」(11)で
監督業をやっていますが、ドキュメンタリーはこれが初。
しかも、自分自身を題材にしているところがスゴイ。
*監督の才能を開花させた、いい映画でしたね~
サラ・ポーリーの母親は、女優やキャスティングディレクターとして活躍し、
自由奔放に人生を駆け抜けて、サラが11歳の時に若くして他界します。
5人兄妹の末っ子であるサラは、幼い頃彼女だけ赤毛だったせいもあり
「サラだけパパに似ていない」と兄妹にからかわれていたそうです。
兄妹と歳の離れているサラは、母親を亡くしてからお父さんに男手ひとつで
育ててもらいました。
お父さんも結構歳をとってからの娘だったので、よけいに可愛かったのでしょうね~。
女優になり、監督業もこなし、成功を収めたサラ・ポーリーでしたが、
兄妹たちにからかわれたあの言葉が胸につかえたままです。
「私の本当の父親は他にいるのでは?」、彼女は母親の人生を探りはじめます。
母親を知る人たちのインタビューと8ミリ映像を交えながら、
巧みな構成で母親の過去をあばいて行きます。
ナレーションをお父さんがやってるところが、スゴイ。
この映画、母親の秘密を知ってからつくられたドキュメンタリーなんです。
さらに真実を知ったのが、私が2012年のいい映画、
年間1位に選んだ「ミスター・ノーバディ」の撮影中というんだから、またスゴイ。
「ミスター・ノーバディ」でもサラ・ポーリーは見事で、
陰のある役をやらせたら10本の指に入ると賞賛(私が勝手に)。
自分の出生の秘密というヘビーな題材を、
名前の通りサラっとドキュメンタリー映画にしてしまう。
不思議と後味がサラサラとした、秀逸な映画でした。
次回からはベスト3のご紹介です。
今回はこのあたりで失礼します。