2014年下旬、私が勝手に選んだ栄えある1位は
ガエル・ガルシア・ベルナル主演の「No」です。
1988年、15年間に渡り軍事独裁政権でチリを掌握してきたピノチェト将軍は、
国際的な批判をかわすため政権の是非を問う国民投票を行うことを発表。
ピノチェト派は「Yes」、反ピノチェト派は「No」。
勝利を確信している独裁政権は、
「Yes」・「No」 両陣営の15分のテレビCMを深夜に放送することを許可します。
そこで「No」を率いるリーダーは、フリーの広告マンにCM制作を依頼します。
投票日まではわずか27日。
ピノチェト派が必ず勝利する出来レースであることは分かっているため、
これまで独裁政権にどれだけ国民が苦しめられてきたかを訴えて欲しいとリクエストするが、
広告マンはまったく逆の発想で民衆の心を掴もうとします。
「CMは世界をかえられるのか!?」のキャッチコピーの通り、
独裁政権に諦めかけていた国民が「No」 陣営が繰り出すキャンペーンに徐々に目覚めはじめます。
モノでもサービスでも、ネガティブな切り口の広告は誰でもつくれますが、
そのモノやサービスを手に入れたり体験した後の良いイメージを膨らませる広告づくりは、
なかなか至難の業です(シンプルでキレイに分かりやすくまとめること)。
「広告の力」を再認識させられた映画でしたが、
同時に氾濫する情報に知らず知らずのうちにまんまと扇動させられていたりして……
なんて事が頭をよぎるのでありました。