亡きスティーブ・ショブズと10年以上に渡り一緒に仕事をしていた
ケン・シーガルって人が上梓した、「Think Simple」を読んでみた。
彼は伝説のキャンペーンと言われている、「Think Different」の制作に参加。
さらに、「iMac」をジョブズを説得して命名。
したがって、アップルの「i」シリーズは彼がゴッド・ファーザーなのである。
この本の序文で彼は、言っています。
人生は能力と幸運の組み合わせでできている。
私はクリエイティブ・ディレクターという職業において、
自分は一番能力があるなどと言う気はさらさらないが、
一番幸運だとははっきり言える。
なぜなら、ネクスト社とアップル社のステイーブ・ジョブズと10年以上も一緒に
仕事ができたのだから。
楽な仕事ではなかった。健康にもいいとは言えないだろう。
それでも常にエキサイティングだったし、
そのとき学んだ多くのことで、私は一生、彼に感謝するだろう。
変人と呼ばれたスティーブ・ジョブズを、リスペクトしていますね~。
ちょっとやそっとでは他人を認めることがなかったジョブズと
10年以上も一緒にいた訳だから、崇拝もするでしょうが……。
そんな彼がジョブズとの仕事を通して辿り着いたクリエイティブの哲学が、
「シンプル」なのだそうです。
以後、ジョブズとのさまざまなエピソードと共に、
組織づくり、会議、環境、発想、デザイン、プロモーション、
全てにおいてアップルは「シンプル」を第一に取り組んできたと語ります。
大いなる自慢話を交えて……。
単純な話、成功者が書いた自慢話満載の本なのですが、
会議に関するアップル流の考えは共感できましたね~。
引用すると……
<すばらしい会議の実践法>
①出席者は最小限にする
②30分以上続くときは退席する
③会議で使った時間を埋め合わせるべく、その日に何か生産的なことをする
まったく、その通りだと思います。
彼曰く。かかわる人間が多くなればなるほどブリーフィングは複雑になり、
スピードアップするために必要な手間も増え、
メンバーの仕事をチェックして有益なフィードバックを与えるのにも時間がかかる、
有能な人間が揃っていれば少人数は成功に至るもっとも効率的な道なのだ。
プロジェクトに多くの人間を参加させた方がよい結果が出るということは、
基本的にスタート時のメンバーでは自信が持てないという意味だ。
保険をかけるという理由づけも、やはり同じ意味だ……
まだまだ続くのですが、この辺で省略。
会議に役立たない者が出席していた場合、ジョブズは容赦なく退席させたそうです。
怖いですね~。
ついでに、プレゼンに関するジョブズの怖いエピソードも2つご紹介。
3つの文章で言えるところを20枚のスライドを見せられると
スティーブはもうガマンできなかった、
彼にとって時間はそういう使い方を許さないほど貴重だった。
巧みなプレゼンよりも率直な話と加工されていない中身を好んだ。
実際のところ巧みなプレゼンを聞くと彼は、
少しの事実しかないのに膨らませているのではないかと疑った。
アイデアそのものを考えるよりも、
アイデアを見栄え良く飾ることに貴重な時間を使っているのではないかと思ったのだ。
シンプルはせっかちだ、いきなり本題に入って大事なことに集中したがる。
それはプレゼンターが説得力のある話をすべく
準備に費やした時間を侮辱しているわけではなく、
プレゼンターが話そうとしていることが往々にして過分だからだ。
多くの人は言葉数を増やせば、自分の賢さを示せると誤解しているが、
実際はその反対であることが多い。
簡潔なコミュニケーションをとるノウハウを知っている人は、
有能な人間という印象を与えるし、時間を大切にしている幹部から高く評価されるのだ。
あ~怖。
ジョブズに関する話なら皆さんも良くご存じだと思いますが、
商品開発や経営に関して彼が力説していた考えを3つご紹介。
◯テクノロジー産業で本当に意味のある変化とは、
既存のモノに10倍の改良を加えることだ。
◯アップルがどれほど大きくなっても数字に夢中になることはなかった。
集めたデータを熱心に見るが、最終的な決断では頭と心をよりどころにした、
それが健全な人間のあるべき姿であり、そうすることで
物事をシンプルにしておくことができる。
◯一般の人には想像すらできないモノを思いつくことが、アップルの仕事。
ジョブズと共に仕事をしてきたプライドから、
随所にウザい程の自慢エピソードが書かれていますが、
考えさせられたり、頷ける話も多くありました。
この本を通じて、アップルのクリエイティブに関する考え方に触れることができる、
それは間違いないです。
最後にこの本のテーマである「シンプル」について……ジョブズのセリフ。
シンプルであることは、複雑であることよりも難しい。
物事をシンプルにするためには、
懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。
だが、それだけの価値がある。
なぜならば、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせれるからだ。