バサラの仕事ではラフを描く作業が重要です。
デザインって感覚でやっていると思われがちですが、
案外理屈の塊だと思うんですよね。
紙面にのせたい情報をまとめるにあたって、情報に順番をつけて
どれとどれが主張したいものかなどをちゃんと処理してあげなければいけない。
良いデザインにするためには、作る作業の前に考える作業から。
ラフはいわばそのための設計図であり、
ラフの出来はデザインの出来を大きく左右する
と言っても過言ではないと思います。
新人の頃に陥りがちなパターンといえば
とりあえずIllustratorを開いてレイアウトする
↓
散々悩み、レイアウトの堂々巡り
↓
よし、まとまった!
↓
印刷してみるとなんかイマイチ
↓
また試行錯誤
これは、デザインの内容が事前にしっかりと練られていない場合に起きる事なんですが、
最初に考えるのとその都度考えるのとでは作業能率が全く違います。
私の経験上ですが、
上達の早い人、デザインの上手い人ほどしっかりラフを描いています。
「でも実際、Illustrator上でやっちゃう方がキレイだし、
どの道データ化するのなら最初からIllustratorでやってもいいんじゃない?」
という意見もあると思います。
もちろん案件によってはその方が早い場合も確かにありますが、
小さな広告とか対象は限られます。
大概は、いきなりパソコンに向かうと、悩むんです。
悩みながら色々試行錯誤する。
そしてパソコン上での試行錯誤はどうしても時間がかかってしまう。
作業スピードもクオリティーも変わってくるので、ラフの工程を適当にやると
後々自分の首を絞める事になってしまいます。
それに比べ、手描きラフは鉛筆と紙さえあればササッと描ける。
これは違うな、と思えばササッと消して取捨選択できるし、アイデアを展開しやすい。
なのでラフを描いてからパソコンに向かうのは一見遠回りなようで、実は近道なのです。
そして、ラフの作業と同時に重要なのが資料集めです。
どんなデザインを制作するにも資料は必要。
知らないものはイメージできないし、イメージできないものはラフにも描けない。
最初の頃は資料を集める、という事を忘れがちですが
上手い人ほど徹底して資料を集めていることを知ってほしい。
上手い人はみんな資料をしっかりと、そして繰り返し見ています。
一見、たいした資料が無くても制作できているように見えますが、
それは過去の膨大な資料を見て描いて制作してきた
経験値と引き出しによって成立してるだけで、
実際いっぱい資料を見ているし持っているんです。
ラフを制作するためには様々な情報が必要です。
まずは、企業情報、サービス内容、イメージ写真など訴求側の情報。
さらに、対象者、訴求内容、シチュエーション等の訴求対象の情報。
これらの不明な要素を解消していく必要があります。
そこで資料が必要になってくるのです。
デザインを考えるには情報量が多い方がいい。
デザインをつくるには情報量は少ない方がいい。
「デザインは削ぎ落とす作業」とよく言われますが、
自分がつくろうとしているデザインにはどんな要素が必要か
何を削り、逆に何を強調すれば効果的か。
資料を精査しながら美しく削ぎ落とし、洗練されたデザインを構築するために
ラフを描くという工程が大切なのです。