懐かしきスーザン・デイ その3

オマケ映画の「ファーストラブ」が始まった。
巨大スクリーンに映し出された女性は、なんと「パートリッジファミリー」の長女!!

「パートリッジファミリー」とは、私が小学生の頃、
学校から帰宅してテレビを点けると、いつも放送されていたアメリカのホームドラマ。
当時はだいたい「奥様は魔女」と「パートリッジファミリー」が入れ替わりで、
今でいう「水戸黄門」の再放送のように放送されていた。
たぶんそうだったと思う。

「パートリッジファミリー」はバンド一家で、バンド活動を生業として生活している。
そんなバンド一家の日常やトラブルを、アメリカンジョークを
交えながら描くというドラマだった。
(アメリカドラマでは定番の録音された笑い声がgoodタイミングでインサートされていた)
分かりやすく言えば、「サザエさん」のバンドver.のようなもの。
冒頭の長女はサザエさんからオッチョコチョイを取り払った、
清楚でカシコイ、しっかり者のお姉さんという感じだった。

「サザエさん」のバンドver.なだけに、当然のことながら
暴力シーンやスケベなシーンは一切無し。
登場人物は全て、人畜無害で清廉潔白。いい人といい人が夫婦になり、
いい人のDNAがそのまま全ての子どもにいい感じに受け継がれ、
いい音楽を演奏する、いいバンド一家だった。
そんな、スマートで理想的な家族像を描き出すドラマに、
ガサツな両親を持つガサツな少年は、
叶わぬ憧れを抱いていたのかもしれない。たぶん。

映画が進むにつれ、なんだか胸がざわつき出す。
どうにも展開があやしい。思春期の少年のアンテナが反応する。
そして、とうとう、あの「パートリッジファミリー」のお姉ちゃんがベッドイン!!
ガーーン! その瞬間、少年の周りの空気が凍りついた!!
「そ、そ、そんな殺生な……」ショックを飛び越えてよく分からないコトを呟く。
そのベッドシーンは、よくあるナニを連想させるものではなく、
モロ出しのガチンコだった。
その後、アメリカのサザエさんの体当たり演技は幾度となく繰り返された。
ハッキリとは覚えていないが、そうだったような気がする。

映画が終わった。それと同時に少年の中の何かも終わりを告げた。
あの「パートリッジファミリー」のお姉ちゃんが……。
ドラマの中でいつも献身的に家族を支えてた、あのヒトが……。
身だしなみもキッチリ、いつもシワ一つ無いパリパリのシャツを着ていたのに……。
虚構の世界の無情さに叩きのめされた少年は、
崩れ落ちそうな腰をチャリンコのサドルにドカッと落し、
「大逆転」で信頼していた上司に騙され一文無しになったダン・エイクロイドのように
ゆらゆらと家路についたのだった。たぶん。

次の日、顔を合わせた二人は、
「きのーのオマケ映画、でーれートクしたのー」
「おー、今までのオマケ映画の中じゃNo.1じゃー」と語り合ったんだと思う。
私のことだからショックを悟られまいと、きっとイキガってたに違いない。
「パートリッジファミリー」のお姉ちゃんは、仕事で「パートリッジファミリー」と
「ファーストラブ」の役を演じ分けていただけのことだが、
当時の私はあっさりと割り切ることができなかった。
純粋だったんですな~。

35年の歳月と共に忘れ去られていた、「オマケ映画のNo.1」。
ひょんな事がきっかけで、彼から聞いた「ファーストラブ」を検索して、
「パートリッジファミリー」のお姉ちゃんが
スーザン・デイという名前であることを知った。
ほろ苦い思い出とともに、改めてネットって便利だな……と思った。

1970代には、実際に
全米No.1を記録した
ヒット曲もあるらしい。

 

 

 

 

 

ちなみに、あのマイケル・ジャクソンの
ジャクソン・ファイブも同じ頃に活躍してて、
ニセ家族VS本物の家族という
様相を呈していた。
という話は私の勝手な推察です。


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